松蔭2

ー 短所は指摘せず長所を伸ばす!ー

 前回の吉田松陰「よき競争相手を作ろう」では、高杉晋作と久坂玄瑞を競争させた話や、また長所伸展の話を書きました。今回は松陰流「短所はさわらない」について書いていきます。「長所を伸ばす」ということは逆に言えば「短所はいじらない」「できるだけさわらない」という話になります。つまり松陰は長所をみつけ、天才的に伸ばしていきましたが、極力短所にはさわらなかったそうです。
 その逸話は松陰が安政四年(1858年)に著した「煙管(きせる)を折るの記」に著してあります。ある夜、塾生たちは勉強の後、タバコを吸いながら幕閣の悪口などを交えた雑談にふけっていました。松陰は黙って聞いていましたが師の不愉快な様子が感じられたのでしょう。塾生たちはいつしか話すのをやめました。そこで松下村塾の三秀の一人、稔磨が手にしていた煙管を折ったのをきっかけに、側にいた塾生たちは次々と煙管を折ってみんなで禁煙の誓いをしたというのです。それを見て、松陰は「みんなが止めるのを待っていた。」と初めて口を開いたのです。彼の考え方はいつもこのように短所を見つけて目ざとく怒るのではなく極力、当事者達が気がつくのを待つ事でした。久坂・松蔭・高杉山口県・萩往還公園の銅像



 その方法は学院や家庭でいつもそのまま使えるものではありませんが、いかに短所を指摘しても直らないか、相手が考えないかを深く物語っています。松陰は死に際して最後に「留魂録」という書を著していますが、これは門下生つまり松下村塾の塾生達に残したものです。自分は30歳で死ぬけれどその一生の中に四季があり、最後に実をつけこの世を去っていく。自分の残した実は次なる時代を担う人を育てる種になってほしいと。
私が西暦2000年、30歳を迎える年に学院を出したかったのも(当時29歳)この松陰が30歳で亡くなったことに対し、こだわりがあったのも事実です。
歴史上素晴らしい教育をした吉田松陰の教えをまとめると、

  1. 長所を伸ばすこと。
  2. 必要に応じて競争させること。
  3. 短所はできるだけさわらないこと。
  4. 常に世の中全体を良くするために動くこと。

         この4点にしぼられるのではないかと思います。

 又、歴史上もっとも教育者として人財を輩出した松陰から学べる事はたくさんあり、歴史を深く学ぶ事は人生を豊かにするものである事を学院の社会科の授業を通して随時教えていきたいと考えます。