教科書について

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  理科の教科書は第一分野(物理、化学)と第二分野(生物、地学、天文学)に分かれているのですが、第一分野の「下」の教科書でまず取り上げるのが化学変化と原子、分子についてです。
 どの教科書でも膨らし粉(炭酸水素ナトリウム)をいれてパンケーキを焼くとふんわり膨らんで出来る例を取り上げて、それは炭酸水素ナトリウムが熱で分解され、二酸化炭素が発生してパンケーキに気泡を作るからだと言うことを説いています。つまり、物資は分解されたり、化合したりして変化する、と言うことも教えるのです。そのことを更に考えていきますと、物質は例外なく原子もしくは分子からできていると言う事実に突き当たるのです。
 そのことを中学生は、ここで始めて知るのです。この世の全ての物質が、100あまりの原子その組み合わさった分子で出来ているんだと知ることは、大いなる知識興奮のはずなのです。なのに教科書はその話しを少しも盛り上げようとしないのです。ただ「こうなります。こうだからです。」と事実を述べるばかりです。
 なぜもう少し感動的に分かるように書かないんだと思ってしまいます。読み物としての面白みがゼロではないのかと。しかし、冷静によく考えてみると教科書は読み物ではないのです。中学生は教科書だけから学ぶのではないのです。教科書をもとに、教師が授業をする。その教師が、「さあ、どうしてこうなるのか考えてみましょう。」「これはだね・・・。」と生徒の頭を刺激していき、真理へと導くのです。だから教科書だけで全部分かるようになっていなくてもいいのです。
 そうするといい教科書とは教師が指導する時にうまい道筋をつけるものということになります。論理の道筋が正しいのがいい教科書なのです。そして、教科書はあくまでも
「良い教師の良い授業」がないと全く生かされないものなのです。
教育は「教師に始まり、教師に終わる」という言葉がこのことからも解ります。